「表現の不自由展その後」中止に関する公開質問状

あいちトリエンナーレ実行委員会

会長 大村 秀章 様

2019 年 8 月 6 日

私たち「表現の不自由展その後」実行委員会は、あいちトリエンナーレ 2019 芸術監督の津田大介さんの要請を受けて発足しました。人々の目の前から隠された表現を世に出すことで、現代日本の表現の自由をめぐる状況を来場者に考えていただくことを目的に、同展の実現に向けて、推進室の皆さんとともに努力してまいりました。

それが、テロ予告や脅迫ともとれる FAX を含む大量の抗議電話などにより事務局機能がマヒ状態に追い込まれたということで、開会後たった 3 日で、中止するとの決定を一方的に通告されました。しかし、口頭によるもので私たちの要求にもかかわらず、今日まで正式に文書での中止の通告も、理由も明示されていません。私たちが得た情報は津田大介芸術監督からの口頭での説明と報道のみという異常さです。会場の入り口には壁が設置されて入場不可能となっていますが、私たちは中止決定にまったく納得していません。私たちは、いつでも展示を再開できるよう、事務局の了解を得て、中止決定の後も会場内をそのまま保全しています。私たちの要求は、同展の会期末までの展示です。一日も早い再開を求めます。

中止の決定が口頭で示されただけだったので、私たちは文書による決定通告を求めましたが、決定から 3 日を経た現在に至るまで、文書の提示はありません。また、8 月 3 日に行われた大村秀章知事の記者会見について、私たちは会見の時間・場所を尋ねていたのに連絡はなく、その後の津田大介芸術監督の中止発表会見への出席も拒まれて、中止に至る経緯などについて詳しく尋ねる機会もないままです。

やむを得ず、私たちは以下の各点につきまして、公開質問状の形で質問させていただきます。ご多忙のところ誠に恐縮ですが、文書による速やかな回答を強く求めます。

1. 「表現の不自由展その後」を中止するとの判断をした理由は、具体的には何だったのですか。テロ予告や脅迫ともとれる FAX が届いたとされていますが、私たちは見せてもらっていません。原本を私たちにも見せてください。

2. 中止の決定に際して、私たちは事前協議を求められていません。誰が、どのように判断して中止の決定に至ったのか、その経緯はどのようなものだったのですか。

3. 中止決定をめぐって、意思決定機関であるはずの実行委員会運営会議は、いつ開催され、誰が参加し、どのような議論を行ったのですか。その議事録を開示してください。

4. あいちトリエンナーレ 2019 の運営・意思決定に関するルール、実行委員会の内規などがあるようでしたら、それを開示していただけないでしょうか。

5. 企画の段階から、抗議電話の対策についても、私たちからいくつもの具体的な提案も行いましたが、そのような私たちの提案は実行委員会でどのように検討され、実際には何が実施されたのですか。

6. 開会初日から抗議電話が殺到したとのことですが、電話を受ける職員に対する研修や、抗議電話の被害を受けた職員への事後の継続的なケア、2 日目の朝以降の対応の見直しなどは、具体的にはどのように行われたのでしょうか。残り会期中のケアや対応は具体的にどのようにする計画でしょうか。

7. 抗議電話等の中には「ガソリンを持って…」などテロ予告や脅迫と言えるものがあったと表明されていますが、こうした犯罪行為に対して刑事告訴は行いましたか。告訴していないとすればなぜでしょうか。今後の対応はどう検討されているでしょうか。

以上、勝手ながら 8 月 10 日までに文書で回答をいただきたく、お願い申し上げます。

「表現の不自由展その後」実行委員会

アライ=ヒロユキ 岩崎貞明 岡本有佳 小倉利丸 永田浩三

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