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展示のさい、配慮したこと

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「表現の不自由展・その後」の展示は、作家と作品をより良く活かすことを最優先に考えました。
検閲を受けた作品は色眼鏡で見られがちなので、展示には先入観を与えない工夫を凝らしました。
挨拶文はできるだけニュートラルな装いに、作品説明文も検閲事件に関わる叙述は最小限にとどめています。
検閲事件の詳細は資料コーナーの作家ごとに分類のファイルに詳しく収録しました。要は、検閲事件の博物展示でなく、検閲された作品の美術展示です。
まず作品そのものを観賞していただいて、「じゃあ、なぜこれが検閲に?」という方は資料でじっくりどうぞという趣向です。

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表現の自由回復のために――表現の不自由展実行委員会が望むこと

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 主に日本で起こった検閲や言論規制を受けた作品を集めた展示企画、あいちトリエンナーレ2019の「表現の不自由展・その後」は、大規模な言論テロによってわずか展示開始3日目にして終了に追い込まれました。

いま、「表現の不自由展・その後」の入り口は巨大な壁で塞がれています。しかし、会場内は封鎖される前のまま維持され、私たち実行委員会が交代で保全・見守りを続けています。

まず、私たち表現の不自由展実行委員会は、以下の点でこの「大規模な言論テロ」に対し憂慮すべきとともに社会的犯罪として抗議の声をあげます。

1)作家の作品を公開する権利を奪ってしまったこと

2)展示施設で働くスタッフの方々に対する「言葉の暴力」で心身両面での疲弊を強いたこと

3)美術展示施設の表現の自由を破壊したこと

4)痛ましい京都アニメーションの放火事件を連想させる犯罪教唆で社会的不安を引き起こしたこと

まず今回の件でなすべきは、展示終了までの経緯を詳細に至るまで明らかにし、いまや日本社会全体の問題となってしまったこの「表現の危機」の情報を広く分かち合い、議論を喚起することに思います。そして、私たち実行委員会は、展示再開というかたちでの「表現の自由」を回復することこそが、この「表現の危機」に立ちむかう最良の手段であると信じてやみません。

先日、あいちトリエンナーレ2019実行委員会にお渡しした「『表現の不自由展・その後』中止に対する公開質問状」は、再開のための衆議を分かち合うためのステップと位置づけています。

あいちトリエンナーレ2019実行委員会の「展示終了」という最終決定は、表現の不自由展実行委員会に正式な最終通告がなく、大村知事の記者会見をネット等の傍聴で知らされました。

この相互協議のない一方的な措置は、表現の不自由展実行委員会と出展作家の権利を損ねるものであり、批判の声明を出しました。

これは美術展示の意思決定は公正なものでありたいという思いから出したもので、美術界の改善と公共性の向上の願いが根底にあります。決して、あいちトリエンナーレ2019実行委員会との対立を企図してのことではありません。

この「表現の危機」において求められるのは、結束の力です。先ごろ72組の本展と「表現の不自由展・その後」の作家が合流し、「再開の呼び掛け」を訴えるアーティスト・ステートメントがなされました(8月15日現在83組)。私たち実行委員はこれに強く勇気づけられました。その生まれる過程では、私たちが出展作家の仲立ちをし、かれらが合流した経緯もあります。

また、本件で多くの市民の方、ジャーナリスト・有識者団体からも再開を求める支援の声をいただきました。私たちはその期待に応える責務を重く受け止めています。

今度は、私たち表現の不自由展実行委員会とほぼ途絶えがちとなってしまったあいちトリエンナーレ2019実行委員会との間で対話を回復させ、ともに手を携え、再開のための人事を尽くす番だと思います。

私たちが求めるのは、安全かつ安心なかたちでの再開です。私たちは企画準備初期(4月)から、保安上の問題に対しては、私たちの長年の経験をもとに、専門家の知見もいただき、おそらくは最高レベルの対処マニュアルと注意喚起をし続けてきました。抗議行動もある程度予測していました。

そうした事態になった場合、最も懸念されるのは、最前線に立たされる電話応対される職員の方、会場のボランティア監視員の方たちの心身の消耗です。ですから事前の研修の必要性と心身の消耗のケアの重要性も指摘もしてきました。そうした準備が十分になされていなかったことは本当に残念でなりません。

こちらに加え、今回の事態の詳細な情報開示を受け、より広い専門家の参集で事態の分析をともに行っていきたいと思います。

その過程を経て、ご来場いただく方々には安全かつ安心して作品の鑑賞ができる環境づくりを見出すことができると信じています。

ヴェネチア・ビエンナーレやドクメンタを筆頭とする、海外の国際美術展は、近年社会のタブーを直視する政治性の強い美術表現を集め、世に問題提起を投げかけています。日本の美術展示ではそれがかなり希薄であることがしばしば指摘されています。

あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」にも、そうした世界潮流に呼応する意味合いがあります。本展出品作のなかに含まれる、強制連行や日本軍「慰安婦」、天皇制、在日米軍基地、政治と社会の右傾化、福島の放射性物質汚染、といった主題はまさにこの「日本社会のタブー」そのものです。

そうした意味合いを持つ「表現の不自由展・その後」を、圧力に抗して再開させることは、日本の美術と社会の改善と発展に資するものがあるでしょう。

また「表現の不自由展・その後」の原型である、2015年のギャラリー古藤で始まった「表現の不自由展」は、いま日本社会に蔓延しつつある検閲と規制の問題を扱うことで、この社会に公正さと公共性を確保したいという問題意識から生まれました。今回の件で「言論表現の危機」が改めて明らかとなりました。この事態に対し、私たちは再開によって応えたいと思います。

あいちトリエンナーレ2019実行委員会・大村秀章会長、津田大介芸術監督には継続して対話を呼びかけていきます。一緒に力を合わせ、多くの市民やジャーナリスト、識者の方からの応援のもと、再開を実現したいと決意しています。

2019年8月15日

表現の不自由展実行委員会

アライ=ヒロユキ、岩崎貞明、岡本有佳、小倉利丸、永田浩三

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「表現の不自由展その後」中止に関する公開質問状

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あいちトリエンナーレ実行委員会

会長 大村 秀章 様

2019 年 8 月 6 日

私たち「表現の不自由展その後」実行委員会は、あいちトリエンナーレ 2019 芸術監督の津田大介さんの要請を受けて発足しました。人々の目の前から隠された表現を世に出すことで、現代日本の表現の自由をめぐる状況を来場者に考えていただくことを目的に、同展の実現に向けて、推進室の皆さんとともに努力してまいりました。

それが、テロ予告や脅迫ともとれる FAX を含む大量の抗議電話などにより事務局機能がマヒ状態に追い込まれたということで、開会後たった 3 日で、中止するとの決定を一方的に通告されました。しかし、口頭によるもので私たちの要求にもかかわらず、今日まで正式に文書での中止の通告も、理由も明示されていません。私たちが得た情報は津田大介芸術監督からの口頭での説明と報道のみという異常さです。会場の入り口には壁が設置されて入場不可能となっていますが、私たちは中止決定にまったく納得していません。私たちは、いつでも展示を再開できるよう、事務局の了解を得て、中止決定の後も会場内をそのまま保全しています。私たちの要求は、同展の会期末までの展示です。一日も早い再開を求めます。

中止の決定が口頭で示されただけだったので、私たちは文書による決定通告を求めましたが、決定から 3 日を経た現在に至るまで、文書の提示はありません。また、8 月 3 日に行われた大村秀章知事の記者会見について、私たちは会見の時間・場所を尋ねていたのに連絡はなく、その後の津田大介芸術監督の中止発表会見への出席も拒まれて、中止に至る経緯などについて詳しく尋ねる機会もないままです。

やむを得ず、私たちは以下の各点につきまして、公開質問状の形で質問させていただきます。ご多忙のところ誠に恐縮ですが、文書による速やかな回答を強く求めます。

1. 「表現の不自由展その後」を中止するとの判断をした理由は、具体的には何だったのですか。テロ予告や脅迫ともとれる FAX が届いたとされていますが、私たちは見せてもらっていません。原本を私たちにも見せてください。

2. 中止の決定に際して、私たちは事前協議を求められていません。誰が、どのように判断して中止の決定に至ったのか、その経緯はどのようなものだったのですか。

3. 中止決定をめぐって、意思決定機関であるはずの実行委員会運営会議は、いつ開催され、誰が参加し、どのような議論を行ったのですか。その議事録を開示してください。

4. あいちトリエンナーレ 2019 の運営・意思決定に関するルール、実行委員会の内規などがあるようでしたら、それを開示していただけないでしょうか。

5. 企画の段階から、抗議電話の対策についても、私たちからいくつもの具体的な提案も行いましたが、そのような私たちの提案は実行委員会でどのように検討され、実際には何が実施されたのですか。

6. 開会初日から抗議電話が殺到したとのことですが、電話を受ける職員に対する研修や、抗議電話の被害を受けた職員への事後の継続的なケア、2 日目の朝以降の対応の見直しなどは、具体的にはどのように行われたのでしょうか。残り会期中のケアや対応は具体的にどのようにする計画でしょうか。

7. 抗議電話等の中には「ガソリンを持って…」などテロ予告や脅迫と言えるものがあったと表明されていますが、こうした犯罪行為に対して刑事告訴は行いましたか。告訴していないとすればなぜでしょうか。今後の対応はどう検討されているでしょうか。

以上、勝手ながら 8 月 10 日までに文書で回答をいただきたく、お願い申し上げます。

「表現の不自由展その後」実行委員会

アライ=ヒロユキ 岩崎貞明 岡本有佳 小倉利丸 永田浩三

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「表現の不自由展・その後」の一方的中止に抗議する

投稿日:

あいちトリエンナーレ2019実行委員会会長の大村秀章知事と津田大介芸術監督が、「表現の不自由展・その後」を本日8月3日をもって展示中止と発表したことに対して、私たち「表現の不自由展・その後」実行委員会一同は強く反対し、抗議します。

本展は、2015年に私たちが開催した「表現の不自由展」を見たジャーナリストの津田大介氏が、あいちトリエンナーレ2019でぜひ「その後」を開催したいと、私たちに依頼したものです。その意欲と理念に共感した私たちが企画やキュレーションを担ってきました。

今回、電話などでの攻撃やハラスメントがあり、トリエンナーレ事務局が苦悩されたことに、私たちも心を痛め、ともに打開策を模索してきました。しかし、開始からわずか3日間で中止するとは到底信じられません。参加してくださった16組の作家のみなさん、企画趣旨に理解を示してくださる観客のみなさんに対する責任を、どのように考えての判断なのでしょうか。

今回の中止の決定は、私たちに向けて一方的に通告されたものです。疑義があれば誠実に協議して解決を図るという契約書の趣旨にも反する行為です。

 何より、圧力によって人々の目の前から消された表現を集め、現代日本の表現の不自由状況を考えるという企画を、その主催者自らが、放棄し弾圧することは、歴史的暴挙と言わざるを得ません。戦後日本最大の検閲事件となることでしょう

私たちは、あくまで本展を会期末まで継続することを強く希望します。

最後に、今回の一方的な中止決定に対しては、法的対抗手段も検討していることを申し添えます。

以 上

2019年8月3日

「表現の不自由展・その後」実行委員会

アライ=ヒロユキ、岩崎貞明、岡本有佳、小倉利丸、永田浩三

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「表現の不自由展・その後」を応援してください

投稿日:

                          2019年8月3日

8月1日、あいちトリエンナーレ2019はスタートしました。この国際芸術祭のテーマは「情」です。人類が直面する問題の原因は、不安な感情やそれをあおる情報であり、それを打ち破ることも「情」であり、アートであるとうたっています。そんななか、「表現の不自由展・その後」は、近年、表現の場を奪われた作品を集め、なぜそのようなことが起きたのかをいっしょに考える展示として、大きな注目を集めています。

なかでも、「平和の少女像」は、日本と韓国の政治の問題として語られることが多い「慰安婦」にまつわるテーマを、芸術の観点から体感できる機会として、共感をもって受け止められています。「平和の少女像」の横の椅子に座って少女に話しかけたり、いっしょに写真を撮る風景にたくさん出会います。作家にとっても、わたしたち展示を準備してきた人間にとっても、豊かで充実した時空間が形成できたことを喜んでおります。

 にもかかわらず、8月2日、名古屋市の河村たかし市長は、会場を視察した後、「平和の少女像」を展示すべきではないという抗議文を、芸術祭実行委員会会長の大村秀章愛知県知事に出しました。同日、菅義偉官房長官は、記者会見で、国からの補助金交付を精査すると発言しました。

 一方、愛知トリエンナーレ事務局には、展示の中止や公的資金を使った展示の理由を求める電話が連日殺到し、現場は疲弊し、本来の業務がほとんどできない状況に追い込まれています。異常な事態であることは間違いありません。

 この企画は、4年前の2015年、東京練馬区のギャラリーで開催された「表現の不自由展」を訪れたジャーナリストの津田大介さんが、強い印象を受け、あいちトリエンナーレの芸術監督として「表現の不自由展・その後」をぜひ開催したいと要望されたことから始まっています。わたしどもも、津田監督の熱意に動かされて、ここまで努力をしてまいりました。

今回の事態を受けて、津田監督は、「感情を揺さぶるのが芸術なのに、『誰かの感情を害する』という理由で、自由な表現が制限されるケースが増えている。政治的な主張をする企画展ではない。実物を見て、それぞれが判断する場を提供したい」と語っています。

きょうは開催から3日目です。事態は予断を許しません。

わたしたち実行委員会は、今回の展示に参加してくださった16組の作家のみなさん、趣旨に理解を示してくださるたくさんの観客のみなさんに対する責任を痛感しております。


 もし仮に、展示が政治家や攻撃によって中止されるようになれば、
人々の目の前から消された美術表現を集めて現代日本の表現の不自由の状況を考えようとする企画を、わたしたち自身が破壊することになりかねません。そのようなことが起きれば、
戦後の日本で最大の検閲事件になってしまいます。そうしたことは絶対に防がなければなりません。

わたしたちは、本展を会期末までやり遂げることを強く希望しています。

どうかみなさまにおかれましては、不当な弾圧に屈することがないよう、幅広く応援の輪を広げ、連帯していただきたく、よろしくお願い申し上げます。

以 上

「表現の不自由展・その後」実行委員会

アライ=ヒロユキ、岩崎貞明、岡本有佳、小倉利丸、永田浩三